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【コラム:高精度マーカの応用(2)】測位技術

2021.06.23

測位ビジネスイメージ ”参照元:ナノオプト・メディア Location Business Japan 2021”

測位ビジネスイメージ ”参照元:ナノオプト・メディア Location Business Japan 2021”

 

測位とは「今いる場所を知る」ことです。

身近なところでは、スマートフォンやカーナビに搭載されているGPSが代表的な測位技術です。GPSでは複数の人工衛星からの信号を用いて測位を行いますが、このような測位衛星を用いた測位システムの総称をGNSSと呼びます。これまで、衛星信号だけを用いた測位では数mの位置誤差がありましたが、日本の準天頂衛星みちびきの導入によって高精度化し、誤差は数cmになると言われています。また、衛星だけでなく地上の基準局を用いたRTKという方式のGNSSもあり、数cmの位置誤差で測位が可能です。GNSSの技術に共通しているのは、衛星や基地局など4つ以上の信号を受信して位置を計算しているということです。屋外全域での利用を想定しており、屋内では利用できません。

屋内では、GNSSに代わる各種の電波信号を用いて測位を行います。例としてWifiやBluetoothを利用した測位であるBLE、iBeacon、IMESなどがあります。原理としては、GNSSと同じ「三点測量方式」、単純な「近接性方式(チェックイン)」、および電場強度を利用する「環境分析方式(フィンガープリント)」があります。屋内は電波干渉が多いため測定精度が低く、数mの誤差が出ることも多いですが、最近はUWB(Ultra Wide Band)やBluetooth5.1を利用することでより高精度な測位を行う技術も出始めており、今後の実用化と普及が期待されています。

そのほかに、PDR(Pedestrian Dead Reckoning)と呼ばれる屋内測位技術があり、スマホなどに内蔵されている加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、気圧センサなどを利用し移動量、移動距離を測ることができます。PDRの位置は、相対位置であり絶対位置ではないため、初めにスタート位置を指定する必要があります。また、蓄積する誤差を補正する手段が別途必要となります。

 

3次元計測アプリ例 LiDAR iPhone iPad

3次元計測アプリ例 ”参照元:Apple”

周囲の環境をスキャンして形状を把握し、それと3次元地図をマッチングさせることで自分の位置を知るスキャンマッチング(SLAMの要素技術の一つ)という測位技術もあります。

最近よく聞くスキャンツールとして、LiDAR(ライダー)があります。これはレーザー光を利用してToF方式等により深度データを得る3次元スキャナーであり、自動運転車や、最近のiPhoneにも搭載されていることで有名です。LiDARで得られた3次元形状情報と、カメラで得られた画像を融合することで、物体や環境の3次元復元や形状計測ができるようになりました。

また、LiDAR等の深度センサを使わずとも、複数の画像だけで撮影対象の3次元復元を行う技術も発達しており、今やスマートフォン等のカメラが1台あれば、周囲の3次元地図を簡単に作れるようになっています。そして、既存の3次元地図とのマッチング(すり合わせ)によって測位が可能です。このようなシステム/サービスをVPS(Visual Positioning System/Service)と呼び、今後の屋内測位サービスの主流となる可能性があります。ただし、日々変化する環境に合わせて3次元地図も更新し続けなければならず、地図の品質管理やメンテナンスのコストが課題になると予想されます。

代表的なメーカとして、Intel RealSenseVelodyneなどがあります。

 


 

高精度マーカを利用した測位イメージ クラウドシステム

高精度マーカを利用した測位イメージ

リーグソリューションズの高精度マーカを利用した測位も可能です。

高精度マーカを環境の要所に設置し、それらの地球上での位置と姿勢(絶対位置姿勢)を計測、マーカID番号と紐づけてサーバーに登録しておきます。ユーザがカメラでマーカを撮影すると、カメラとマーカの相対的な位置と姿勢(相対位置姿勢)が得られます。その相対位置姿勢を、ユーザがあらかじめ入手しておいたマーカの絶対位置姿勢に掛け合わせると、ユーザのカメラの絶対位置姿勢を計算できます。これがマーカを用いた測位です。

これを実現するためには、とくにマーカの姿勢計測精度が高くないといけません。従来のARマーカは姿勢計測精度が低いため、撮影距離に比例して位置誤差が大きくなりますが、弊社高精度マーカではその10分の1以下の位置誤差で測位できます。産総研が実施した三井不動産との実証実験では、15m離れた地点からマーカを観測し、10cm程度の位置誤差で地球上での自己位置を特定できることが示されています。

マーカによる測位では、3次元地図は不要です。マーカは電力不要のため、設置やメンテナンスのコストはかなり低く抑えられます。あらゆるカメラに対応しているため、測位のために新たな装置を導入する必要がありません。ユーザ側で必要な作業は計測アプリ/ソフトウェアをシステムにインストール/組み込みするだけであり、計算コストも低く、スマートフォンがあれば一般の方でも簡単に利用可能な測位サービスです。また、他の測位手法で精度が不足する所や方向も正確に知りたい所を補間・補強する使い方も有効であり、既存システムとの共存が可能です。

リーグソリューションズの高精度マーカLEAG-SDKを組み合わせることで、様々な現場へアプリケーション化が可能となりました。

ぜひ、こちらまでお問い合わせください。

 


<想定される業界>

エンターテインメント、スポーツ、医療、介護、マーケティング、デベロッパー、

交通、地理、旅行、広告代理店、自動車、ロジスティック

<想定されるソリューション>

AR,VR、3次元MAP、ミラーワールド、コンテンツ制作、

移動ロボット、搬送ロボット、サービスロボット、アバターロボット

自動車、ドローン、AGV

 

参考文献:

国土地理院 「屋内測位のためのBLEビーコン設置に関するガイドライン」

「ビーコン設置に関するガイドラインVer.1」

科学技術振興機構- J-Stage - SLAM の現状と今後の展望