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【コラム:高精度マーカの応用 (1)】 モーションキャプチャーシステム

2021.06.17

モーションキャプチャの様子(参照元:産総研 歩行データベース2019より)

モーションキャプチャの様子(参照元:産総研 歩行データベース2019より)

モーションキャプチャーシステムとは、人や物体の動きをトラッキングして3次元データとして記録するシステムです。3DCGのアニメーション作成や、最近ではVTuberの動作生成で使われたりしているのでご存じの方も多いと思います。様々なタイプのモーションキャプチャーが存在しますが、今回は「光学式モーシャンキャプチャー」についてお話しします。

光学式モーションキャプチャは、計測対象に複数の球形マーカを取り付け、その3次元位置を複数のカメラによってトラッキングするシステムです。マーカは再帰性反射材※で覆われており、カメラ側から照射された赤外光を反射して明るく光るため、カメラによる安定したトラッキングが可能となります。

※鏡面反射とは異なり、入射光線を光源の方向に反射する性質をもった素材。道路標識や夜間作業用の安全ベストなどで使われる。

一つのマーカを複数台(3台以上)のカメラで撮影し、3点計測の原理を使って3次元位置を推定します。死角をなくしてマーカを途切れなく観測するため、周囲360°に多数のカメラを配置します。動き回る人の動作全体を計測するようなシステムは大掛かりで大変高価なものとなります。

 

主なメーカ:OptiTrack, VICON, MAC3D Systems, QUALISYS

 

光学式モーションキャプチャのメリットは計測精度の高さです。マーカの計測位置誤差は1mmまたはそれ以下と言われています。マーカの大きさは直径数mmから10mm程度であり、マーカを付けられるものであれば、人だけではなく様々なものをデータ化することが可能です。例えば、3次元計測機としてOptiTrack SKYCOM TOUCH といった製品も出ています。

デメリットは、一般の方が簡単に使えるようなものではないということです。非常に高価であることに加え、計測用の広い屋内スペースが必要です。そして、多数のカメラが常時マーカを撮影できるよう、計測対象の動き方に合わせて、あらかじめカメラ位置を調整しておく必要があります。また、赤外線を利用しているので、屋外の太陽光の下では計測ができないことにも注意が必要です。

 


ロボットや人体の各部位にID番号の異なるマーカを設置。各部位の6自由度の動きを追跡可能。

リーグソリューションズの高精度マーカも、カメラを利用して3次元のトラッキングを行うツールです。光学式モーションキャプチャ―との違いは、カメラは最低1台、マーカも最低1個で計測可能であるということと、環境光の下で利用可能であり赤外光照明等は不要であることです。このため、狭い空間や屋外での利用も可能になります。

計測内容にも違いがあります。光学式モーションキャプチャーは、各マーカの3次元位置のみを計測(3自由度計測)しますが、高精度マーカは3次元位置に加えて、Roll,Pitch,Yawの3つの傾きを取得できます(6自由度計測)。計測したい物体・部位の姿勢を、1個の高精度マーカで取得できるのです。これにより、屋内外で、動作解析から定点観測までをカメラ1台と少数の高精度マーカにより実現可能となります。

 

高精度マーカ技術についてはこちら

高精度マーカを利用したモーションキャプチャーシステム Photron 6D-MARKER Analyst

 

デメリットもあります。平面型のマーカですので、設置面積がそれなりに必要です。例えばENマーカですと一辺44㎜の面積が必要となります。また、マーカが写っていないと計測できないという点は、光学式モーションキャプチャーと同じです。全身の動作計測となると、どうしても複数のカメラが必要になります。あるいは、慣性式のモーションキャプチャーと併用する等の工夫が必要になります。慣性式モーションキャプチャーについてはまた機会があればお話ししたいと思います。

リーグソリューションズでは、高精度マーカLEAG-SDKを組み合わせることで、様々な現場へアプリケーション化が可能となりました。

ぜひ、こちらまでお問い合わせください。

 


<想定される業界>

エンターテインメント、スポーツ、医療、介護、建築、工場、宇宙

<想定されるソリューション>

VR、人体計測、衝突実験、作業トレース、定点観測(建築物、プラント)、

マニピュレーショントレース(ロボットティーチング)、移動体動作トレース(ドローン、AGV)